非現実的な原発20~22%の政府案 核燃料サイクルなど問題先送り(2021.10.15)

○非現実的な原発20~22%の政府案 核燃料サイクルなど問題先送り(2021.10.15)
政府の第6次エネルギー政策
大島堅一:原発ゼロを前提にすべきと提言
莫大なツケが消費者に。第6次エネルギー基本計画は使用済み核燃料の再処理などの核燃料サイクルについて、再処理に加えて、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を原発で使うプルサーマルなどを推進する方針を引き続き維持している。
岸田「核燃料サイクルを止めたら、現実に動いている原発する動かすのが難しくなる」は正しい。現在の原発を動かすためには、核燃料サイクル政策の破綻には目を瞑らなければならない。
再処理工場の総事業費を精査した結果、2020年より5000億円増え、総額14.4兆円。
MOX燃料工場の総事業費増加、再処理のコスト上昇;加圧水型軽水炉MOX燃料はウラン燃料価格の23倍、沸騰水型原子炉のMOX燃料は18倍の費用を払っている。

原発ゼロでカーボンニュートラルは可能(2021.10.15)

現状日本国内では年間発電電力量の7割以上を海外から輸入する化石燃料に依存しており、特にCO2排出量の大きい石炭火力発電が27%。36程度あるLNG火力について高効率で柔軟性のある発電所を維持して石炭火力は2030年までに確実にゼロにする目標が必要。
世界では発電コストの平均値がこの10年で太陽光は7分の1になり、化石燃料の発電コストよりも低い1キロワット時あたり6円程度となった。陸上風力はすでに4円程度であり、洋上風力の発電コストも9円に下がっている。
国内では原発は2014年度には年間の発電電力量が一旦ゼロになり、その後九州や関西など西日本を中止に再稼働が少しずつ進んで2019年度に6%になった。東電のエリアを含む東日本の原発は1基も再稼働していない。一方自然エネルギーは2010年の10%から現在は20%にまで増加した。原発の安全対策費の大幅な上昇や稼働率の大幅低下により発電コストは大幅に上昇。

孤立出産での死産は罪なのか(2021.11.26)

孤立出産での死産は罪なのか(2021.11.26)

22歳のベトナム人技能実習生が双子を死産しひと晩安置していた行為が「死体遺棄」とされ罪に問われている。「埋めて隠すつもりだった」という検察の推測で起訴された裁判、一審で有罪判決。控訴審が11月12日に開かれたが即日結審。女性と弁護団、支援団体は逆転無罪を目指し無実を訴え続けている。

 

1.リンさんにとって絶対に妊娠するなと言う管理団体や雇い主は理解ある相談相手ではなかった。

死体遺棄罪とは、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得」とされており、死体を山や海に捨て2.る、家の屋根裏や押し入れに隠すといった行為が典型事例。遺体を丁寧にタオルでくるみ、弔いの言葉とともに箱に納めたリンさんの行為は、放置ましてや「遺棄」とはとても言えない。

3.検察はリンさんが隠匿したと主張するが、警察がリンさんの自室に踏み込んだとき、大量の出血などはそのまま残っていた。もし隠匿するつもりだったなら、血液も処理していたはずだし、遺体の箱も棚の上に置かず隠しただろう。

4.「遺体を埋めるつもりで」というのも検察の憶測でしかない。日本語も十分に話せない状態で来日し働き詰めだったリンさんが日本の火葬や埋葬の手続きについて知識があったはずもない。

検察はここまで死体遺棄罪の成立を強行する背景には、女性技能実習生が妊娠出産することに対する牽制・見せしめがある。

法務省技能実習制度はあくまで技能を身に着けて持ち帰るための制度で、実習期間中の妊娠や出産は想定していないとしている。人として当然の権利である結婚妊娠出産が許されず、ただ3~5年働いて帰ってくれればいいということ。人権のない技能実習制度は現代の奴隷制


日本人女性でも同様の事例。2020.12大井町のマンションで死産→死体遺棄で即日逮捕。母親である女性だけが実名報道。父親は全く責任を問われず。女性は保護されるべきであり、逮捕ありきでなく慎重に事情を聞くべき(慈恵病院・熊本市)。
この行為が罪に問われるなら、孤立出産に伴う死産のほとんどが犯罪とみなされてしまいかねない。孤立出産の結果死産に至った女性たちが罪に問われることを恐れむしろ遺体を隠す、遺棄するなどの犯罪行為を誘発する。

孤立出産とは医師や助産師の介助を受けず自宅などで一人で出産すること。そこには貧困や性被害など様々な事情がある。婚姻していない女性が妊娠出産することへの差別や偏見、身近に相談する人がいないなどの社会的な問題もある。

一度起訴されてば99%が有罪となるのが日本の刑事裁判。裁判所が検察に追従する組織的構造がある。

宮古島が自衛隊に占領された日(2021.11.26)

宮古島自衛隊に占領された日(2021.11.26)

11/14宮古島自衛隊の大型ミサイルなどが搬入された。地元住民抵抗したが、自衛隊配備について地元の理解が必要としてきた市長も県知事も容認。


国は土地を買収して訓練場の建設を進め、建設に反対懸念を表明する住民たちの声には耳を貸さず、3月には弾薬庫2棟完成したとして6月に突如、迫撃砲弾など空輸。
2019.4:千代田駐屯地の保管庫に事前説明では弾薬庫ではないといっていたにもかかわらず、迫撃砲弾が保管されていた事実が発覚。→岩屋防衛大臣の謝罪、撤去(本当に撤去されていたかは確認不可)
2021.夏:過去の説明会では実施しないとしていた屋外での夜間空包射撃訓練実施
2021.8:ロナで緊急事態宣言にもかかわらず、陸自平良港の港湾使用許可を求める書類を市に提出。宮古島の市長は「コロナ禍での搬入は住民感情からも認めるわけには行かない」と拒否、一時延期。

玉城デニー:米軍の新基地建設に抗う一方で、自衛隊には消極的な姿勢。搬入を肯定するかのような発言。地位協定治外法権の米軍と対峙してきた歴史がある一方で、地元住民も入隊している自衛隊には口出しが難しいという認識が無意識に刷り込まれている。

防衛省「弾薬の備蓄は火薬類取締法にもとづき運用している」
だが火薬類取締法はそもそも通産省が鉱山開発を想定して1950年につくったもので、火薬庫設置などをする場合は県知事の許可が必要(12条)。しかも自衛隊は特別扱いで県知事ではなく経産大臣の許可があれば火薬庫の設置ができると精霊で特例が定められている。

野党共闘は成功したか2021.11.5

野党共闘が徹底できず、小選挙区共産党社民党が獲得した議席はそれぞれたった1議席。れいわは0議席。これでは立憲民主党以外の政党に共闘するメリットがない。

一方与党側では公明党小選挙区で9議席獲得。自民党公明党議員が当選可能な選曲をつくり組織をあげて応援した。自民党幹部は勝敗ラインを聞かれ「自公与党で過半数」と答え、公明党へも配慮。

枝野は10・18党首討論で「立憲の単独政権を目指す」と語った。10・23の選挙イベントでは志位和夫との写真撮影を拒むかのように退席した。共産党から恩恵を受けながらこのような姿勢では共感を得られない。

比例代表並立制では単独過半数を目指すのは難しく、連立政治が前提となる。しかし新進党(94-97)と希望の党(17-18)は失敗に終わり、民主党政権も連立相手の社民党を蔑ろにしたことで瓦解。野党間の候補者調整は解散日が決定してからのドタバタが目立った。立憲による選挙区調整はショック・ドクトリン的。

連合新会長の芳野氏は機械や金属産業の中小企業の労組でつくるJAMの出身。19参院選でJAMが送り出した田中久弥は落選。今回の選挙期間中芳野会長は立憲と共産の距離が縮まっていることについて…残念だ」と発言。本音は利権への反発。連合内には立憲を強く支持する官公労系の労組が存在する。一方で民間労組の構成員は19参院選の経緯から、立憲への不信感が根強い。

さらに立憲パートナーズという地域組織を発足させながらボトムアップでの候補者選定ができずトップダウンの決定を繰り返した。草の根レベルでの熟議デモクラシー(日常的な異なる他者同士の合意形成)を確立する必要がある。

共産党は近年、比例票の減少傾向。同じく組織票の減退が著しい公明党は自民との連携によって安定した議席数を確保している。自民候補者が立候補する小選挙区では「比例は公明」というバーター(等価交換)を定着させている。共産党も複数の小選挙区議席を獲得して立憲に小選挙区で協力することで「比例は共産」というバーターを成立させたい。

れいわが3議席獲得し、衆参合わせて5議席に到達→山本太郎というパワフルな政治家が永田町に戻ってきたことは、国民の目を野党側にむけるチャンスにつながる。れいわの特徴は、政治から疎外されてきた当事者の声を直接国会に持ち込むこと。エスタブリッシュメントによる合意に対して、「お前たちだけで勝手に決めるな」という介入がれいわの存在意義。この声をしっかり受け止め、合意形成をすすめることができるかが、立憲幹部に求められている。

 

 

野党側に問われたのは力負けしないための地力だった。

旧民主党系の、とりわけ連合内部の政治路線を巡る対立が足を引っ張った。20年に立憲と国民が合同したものの、一部民間産別の支持を受けた新国民民主党が結成され、市民連合を介する野党結集に加わることはなかった。

このことが書く選挙区にいる旧民主党系の支援者、支援団体の結集を妨げ、調整に膨大なエネルギーが割かれるぶん内向きになってしまった。このことは「民主王国」とよばれ、09年政権交代選挙では15ある全ての選挙区で議席を獲得した愛知県では3議席しか獲得できなかったことからも明らか。

アメリカよ、ドイツに学べ 2021.11.2

ドイツ:議会制民主主義がヒトラーを生み出した苦い経験から、個人に権力が集中しない工夫がされている。とくに比例代表制は複数の政党が互いに歩み寄り、合意形成することを促してきた。それは必然的に政治の中道化をもたらす。

ドイツでは連立政権に参加しない野党も、政策立案に影響を及ぼすことができる。連邦議会では各種委員会の委員長の座が各政党に割り当てられ、多数派に独占されることがないためだ。

・政党の大きな役割:出馬する候補者選びに党が大きな役割を果たす。党議拘束が議会運営に影響を及ぼすことも多い。突飛な発想を持つ政治家が党の方針から逸脱した行動を取るのが難しい。政治家個人よりも正当に重点が置かれたシステム。

・高い投票率:2021.9の総選挙で投票率77%

・限定的な夜警国家:ワイマール共和国が殺人もじさない民兵組織や第一次大戦後に社会から疎外された退役軍人を抱えていた状況=2021.1ワシントン暴動(アメリカにはぐんと警察関係者に不満分子がいて、一部は武装している)

ドイツにも軍と警察の内部や周辺に過激な勢力がいるが極右思想を信奉する者が多いと疑われる軍特殊部隊の一部中隊を解体するなど、対策を講じている。

今日のドイツは大規模な軍隊や国家安全保障の実行組織、軍国主義の警察をもたないことが民主主義にとってプラスであることを証明している。

社会的市場経済:社会の連帯感が強い。保守主義社会主義の両方の伝統を具現化。社会の平等と結束を維持する上で国が重要な役割を担うという積極的自由の考え方がある。

ドイツの民主主義にも欠点がある。コンセンサス重視のため、改革は難航し、変化は漸進的。規制や官僚主義に息苦しくなるときもある。

 

 

野党共闘を探る 中島岳志 2021.10.8

野党共闘を探る(2021.10.15)
今の自公政権は国民との信頼が決定的に崩壊してきている。夏場に政府が緊急事態宣言を出しても従わない人たちが続出。
酒を売らないように求めるという手法:信頼が欠けてくると上からの統制を以上に強めて監視社会を作る。
投票率の他に小選挙区制でブロック制の比例代表制である現行の選挙制度はれいわのような少政党、新興勢力にとって非常に不利だという問題もある。
ブロックを区切らずに全国比例ということになれば、一定の議席は見えてくるが、ブロックに区切られてそのブロックごとに活動を広げていかなければいけないとなると、追いつかない。


野党共闘を探る 中島岳志 2021.10.8

岸田文雄新総裁は価値観の問題については明言を避けることが多いが、歴史認識について高橋危険度が顕著ではなく、宏池会のリベラルなあり方を踏襲する姿勢。

現在の自民党衆院議員の約4割が3回生。この世代の人は安倍総裁の下で立候補した経緯があり安倍長期政権の中で上目遣いや忖度は内面化していった人たちである。

参院選拳は比例代表制を導入している。こうした選挙制度の下では明確の二大政党制を誕生せず、共産党公明党のような政党も、一定程度の議席数を獲得する。中核政党と小政党の連立内閣が不可避である。

2009年鳩山内閣社民党国民新党との連立政権だった。しかし普天間辺野古問題で社民党が足かせと考え連立からの離脱を進めた。この背景には当時の民主党の中に二大政党制への幻想が強く供給されていたことがある。

96年自社させ連立政権では、政策決定が自民3人、社民2人、さきがけ1人という構成がなされ、自民党に入れた数月が成立しないようになっていた。

立憲民主党が中核政党として政権交代を実現するには、共産党と連立を組む以外に選択肢は無い。これはれいわや社民とも同様。二大政党制の幻想を捨てるべき。旧民主党系の人が連立についてわかっていないのは、日本は小選挙区比例代表並立制で、共産党公明党が一定数議席を取る前提になっているので、連立政治が不可避であるという点。二大政党制はこの選挙制度が生まれえない。穏健な多党制による連立が必然である。

 

立憲民主党に足りないもの 山口・田中 2021.10.1

政党支持率は野党についてはあまり政党を評価する指標として意味はない。権力を持っていると毎日ニュースで取り上げられるしその存在感をみな感じるから政党支持率は一定レベルをキープする。

野党は現状では競争相手として有権者から認知されていない。選挙が近づくと関心圏に政党が入ってくるからそこで支持率はかなり変わってくる。横浜市長選などまさにそう。選挙でわいわいやっているうちに「自民党に対抗する政党はどこ」「結構良い勝負している」といった情報が入ってくると支持率が上がる。平時に支持率が低いのはあたりまえ。

これからの社会像と言うものが一番求められているのにはっきりしない。政策はっきり示しているが政権を任せたときにこういう社会になるというものが、はっきりと見えてこない。例えば医療介護保険障害者福祉などのベーシックサービスの拡充や減税、給付金支給という政策提案をしているが、その政策によって生まれてくる社会が福祉国家的なものなのか、収入の公平性を実現するものなのか、はっきりしない。

選択的夫婦別姓への理解がなぜ広まらないかと言えば、「家族がこうなる」と言う具体的な提示がないから。また同性婚の例でも、それが認められたところで何も変わらない、当事者の幸せだから幸せな人が増えるだけ、と言う示し方が必要。ストーリーテリング

東京都議選では共産党と候補者を調整して結果を出した。東京の選挙では連合の力がほとんどないのでそれでよかったが、地域によっては民間の組合も含めて地方連合が応援しないとポスターひとつ貼れないところが結構あるので難しい。

 

米英豪の安保枠組み 潜水艦受注の隠れ蓑か(半田滋)2021.10.8

米英豪の安保枠組み 潜水艦受注の隠れ蓑か(半田滋)2021.10.8

 

日本は安倍政権で普通の解禁。初の武器商戦への参加となった。

受注総額約4兆円、契約後に問題が続出。

経費は約2兆7000億円と2倍近くに高騰。フランスが約束した現地生産による地元雇用は進まず、老朽艦の退役により、オーストラリアには潜水艦が一隻もなくなりかねない事態に直面した。

ここでアメリカの影が見え始める。オーストラリアは相互運用性から潜水艦の戦闘システムはアメリカ製と決めていたが、アメリカは最新技術がフランスに流出することを警戒した。フランスとの契約から5年。計画が足踏みを続ける間に、中国は原子力潜水艦を太平洋やアフリカ沖に差し向けるまでにになった

AUKUSは、世界一の武器輸出大国、アメリカの潜水艦受注をフランスからかすめとった事実を後景に退かせるための隠れ蓑だ。冷戦期ソ連の原潜に対抗すべくアメリカがオホーツク海に原潜を潜ませた。警戒する相手が中国なった中国となった今、アメリカ原潜は中国最大の潜水艦基地が置かれた海南島がある南シナ海に潜む。アメリカの技術で建造される原潜が就役すれば中国に対抗する役割はオーストラリアと分け合えて、アメリカの負担が軽減される。