名誉と恥辱と報復と 2021.8.31

人はテロリストに生まれるわけではない。テロリストになるのだ。テロリストの頭の中では市民の犠牲をもいとわない「殺害許可」の認識が生まれる瞬間がある。そのために必要なのは標的を非人間化し悪魔化する認知。

『歪んだ正義 普通の人はなぜ過激化するのか』

特にイスラム系の部族社会で鍵を握るのは名誉、知力、法則と言う3つの概念。部族間で車の窃盗事件が起きると、被害を受けた部族の長は別の部族に「容疑者を差し出せさもなければ私の名誉にかけて報復する」と宣言した。それは名誉や恥辱、報復の概念で作る慣習法に基づく判決だった。

米軍と言う「よそ者」が土足で踏み込み部族社会より素晴らしい(西洋的な)中央集権的社会を作れと押し付ける。多くの部族長はそれに従うふりをして経済支援だけを享受しているように見えたが、タリバンは米軍と戦い、イスラム国系組織はテロを起こした。誇りを汚し持続する相手に命がけで報告往復するのは義務だと考えるからだ。

依存欲求が生物学的欲求と並ぶ基本的欲求である。(アリエ・クルグランスキ)