野党共闘は成功したか2021.11.5

野党共闘が徹底できず、小選挙区共産党社民党が獲得した議席はそれぞれたった1議席。れいわは0議席。これでは立憲民主党以外の政党に共闘するメリットがない。

一方与党側では公明党小選挙区で9議席獲得。自民党公明党議員が当選可能な選曲をつくり組織をあげて応援した。自民党幹部は勝敗ラインを聞かれ「自公与党で過半数」と答え、公明党へも配慮。

枝野は10・18党首討論で「立憲の単独政権を目指す」と語った。10・23の選挙イベントでは志位和夫との写真撮影を拒むかのように退席した。共産党から恩恵を受けながらこのような姿勢では共感を得られない。

比例代表並立制では単独過半数を目指すのは難しく、連立政治が前提となる。しかし新進党(94-97)と希望の党(17-18)は失敗に終わり、民主党政権も連立相手の社民党を蔑ろにしたことで瓦解。野党間の候補者調整は解散日が決定してからのドタバタが目立った。立憲による選挙区調整はショック・ドクトリン的。

連合新会長の芳野氏は機械や金属産業の中小企業の労組でつくるJAMの出身。19参院選でJAMが送り出した田中久弥は落選。今回の選挙期間中芳野会長は立憲と共産の距離が縮まっていることについて…残念だ」と発言。本音は利権への反発。連合内には立憲を強く支持する官公労系の労組が存在する。一方で民間労組の構成員は19参院選の経緯から、立憲への不信感が根強い。

さらに立憲パートナーズという地域組織を発足させながらボトムアップでの候補者選定ができずトップダウンの決定を繰り返した。草の根レベルでの熟議デモクラシー(日常的な異なる他者同士の合意形成)を確立する必要がある。

共産党は近年、比例票の減少傾向。同じく組織票の減退が著しい公明党は自民との連携によって安定した議席数を確保している。自民候補者が立候補する小選挙区では「比例は公明」というバーター(等価交換)を定着させている。共産党も複数の小選挙区議席を獲得して立憲に小選挙区で協力することで「比例は共産」というバーターを成立させたい。

れいわが3議席獲得し、衆参合わせて5議席に到達→山本太郎というパワフルな政治家が永田町に戻ってきたことは、国民の目を野党側にむけるチャンスにつながる。れいわの特徴は、政治から疎外されてきた当事者の声を直接国会に持ち込むこと。エスタブリッシュメントによる合意に対して、「お前たちだけで勝手に決めるな」という介入がれいわの存在意義。この声をしっかり受け止め、合意形成をすすめることができるかが、立憲幹部に求められている。

 

 

野党側に問われたのは力負けしないための地力だった。

旧民主党系の、とりわけ連合内部の政治路線を巡る対立が足を引っ張った。20年に立憲と国民が合同したものの、一部民間産別の支持を受けた新国民民主党が結成され、市民連合を介する野党結集に加わることはなかった。

このことが書く選挙区にいる旧民主党系の支援者、支援団体の結集を妨げ、調整に膨大なエネルギーが割かれるぶん内向きになってしまった。このことは「民主王国」とよばれ、09年政権交代選挙では15ある全ての選挙区で議席を獲得した愛知県では3議席しか獲得できなかったことからも明らか。