TSMC誘致で始める日本再興 2021.11.16

TSMCのが日本初となる工場を熊本県に建設する。

日本の半導体産業はほぼ壊滅状態となっておりこのままでは半導体メーカーに部材や装置を提供する国内メーカーの存続も危うくなる。

政府がこうした事態を防ぐため数千億円の資金をTSMCに提供することで同社の日本酒 進出を取り付けた。

外資系企業誘致して国内雇用を創出するのは典型的な途上国の産業政策だが、国際競争力を失った日本にとっては現実的な選択肢と言える。

日本の産業政策は「ターゲティングポリシー」と呼ばれ特定の産業分野に対して補助金や税制などで支援を行い競争力を強化するしてきた。どの分野が有望なのか事前に政府が決めるというのは計画経済的な手法であり、高度なイノベーションを必要とする現代社会では通用しないというのが世界のコンセンサス。ところが日本政府がこの手法に固執し、国際競争力を失った半導体産業に対しても同様の政策を適用。国策半導体メーカーを発足させるなど巨額の支援を行ったが成果はほぼゼロだった。

政府はこの現実にようやく気づき、外国の優れた企業を国内に誘致する現実的な戦略に切り替えた。

今回TSMCが日本に建設する製造ラインでは最先端技術は一切使われていない。

著名IT企業が次々と国内に誘致し、労働生産性で世界一を達成したアイルランドの事例。かつてアイルランドは景気低迷と失業問題に苦慮していたが、インテル社の工場建設をきっかけに半導体、製薬、ソフトウェアなどの高度な製造業の誘致を推進。同時に徹底的なIT教育を推進し優秀な労働者の育成を図った。同じ工場の誘致でも教育政策とセットにすることで、より高い賃金が得られるという現実をアイルランドを示している。進出企業が獲得する利益は外国のものだが、労働者や取引企業に支払われる金額の方が大きく、国内経済への貢献度が高い。