欧米が振りかざす緑の植民地主義 2021.11.16

ノルウェーはロシアに次ぎ欧州一帯に最も多くの天然ガスを供給しておりつい最近も26立米の供給増で合意したばかりだ。

ノルウェー政府が一部の最貧国に対しては天然ガスを使わな・掘るなと圧力をかけている。

他の北欧諸国やバルト山国と足並みをそろえて世界銀行に働きかけ、アフリカ諸国等での天然ガス事業への入所2025年までにやめろ、経過期間中の融資も例外的な場合に限ってものにせよと要求している。

バルト三国は世銀に、途上国はスマートマイクログリッドや緑の水素の導入を促すべきだと要求。しかしスマートマイクログリッドは現時点で先進国に一切存在していない。緑の水素は現時点で最も複雑かつ高コストの技術。太陽光発電風力発電の設備なら数年で設置できるかもしれないがそれだけではグローバルサービスのエネルギー需要を満たせない。

インドや中国では調理用のガスボンベが普及し多くの人命が救われてきた。天候に左右される風力や太陽光だけでは必要なエネルギーを確保できないから現時点では化石化石燃料を使わざるを得ない。

だからこそノルウェーは国産の石油や天然ガスを使用制限しない。自分の国や天然ガスが必要だが途上国が天然ガスに手を出す事は許さないと言う理屈だ。これは環境保護の顔をした「緑の植民地主義」。

国の発展に膨大なエネルギーの持続的供給が必要なのに、先進国は途上国に対し「発展を諦めろ」「貧しいままでいろ」と告げている。そのかわり気候変動対策の資金を援助すると言うがそれだと途上国はいつまでも先進国に依存することになる。このやり方ではアフリカの貧困から脱却する道が阻まれる。

現時点で再生可能エネルギーだけで電力のほとんどをまかなっているのはアイスランドだけ。

肥料やセメント鉄工の生産にも化石燃料が不可欠で、安く低炭素な代替原料はいまだ存在しない。

収穫量を増やすのに使う化学肥料の生産には天然ガスが欠かせない。道路や建物の建設にはセメントや鉄鋼が不可欠だ。食品や医薬品の冷凍保存にもトラックの運送にも石油と液化天然ガスが必要。

ノルウェーは先進国でもっとも化石燃料への依存度が高い。原油天然ガスが輸出の40%、GDPの14%、政府歳入の14%、雇用の7%を占めている。天然ガスの埋蔵量が欧州最大級で、世界第3位の輸出国でもある。そんな国がアフリカ諸国に発展を諦めろと宣告している。

アメリカ政府ら温暖化対策で高い目標を掲げたが、産油国に対しては増産を求め、アメリカ人の需要を満たそうとしている。ドイツ政府も野心的な排出削減目標を掲げる一方で、国内産業の脱石炭には20年近い猶予与えている。サハラ以南のアフリカ48カ国には10億人以上の暮らしているが、その温室効果ガス排出量は世界全体の1%未満。貧しい国が貧困から脱することができるように少なくとも今後20年間天然ガス事業への資金提供を続けるべきだ。