総裁選に向けた策動

○調子外れの自民狂騒曲と派閥実力者たちの策動2021.9.10

そもそも派閥をもたず党内支持基盤がない菅首相が総理大臣になれたのはいち早く二階幹事長の指示を取り付けて流れを作り他の諸派閥が乗ったためだった。

党内に44%を占める当選3回以内の若手議員たちは危機感を募らせた。不人気の総裁を担いで衆院選を戦えさま比例区の獲得議席数が減少し小選挙区で落選しても救済されない。

情勢調査では40〜60議席を失う結果となり自民と単独過半数割れが現実味を得た。

麻生派所属の河野太郎にとって代替わりを嫌がる麻生の支持を得るのは難しいが、石破を支持することを諦めた二階が河野に接近しつつある。

安倍・麻生と菅・二階の対立は直総裁選の構造を作り上げていく。選挙戦を通じて自らの力を誇示し次の権力を支配下に置くことで長老たちはそのパワーを増長させる。


○心に届かない菅首相の自壊とイベントとしての自民党総裁選2021.9.10

今まさに政局であり今回は2つの際立った特徴を持っている。①コロナが収束する兆しが見えておらずおそらく菅首相を除いては「出口の明かり」が見出せない中で権力闘争が始まったこと。②権力闘争の舞台である総裁選と政権そのものの選択を問う衆院選の日程が近接しており、その2つが相互に影響しあっていること。「総裁選・総選挙同時進行政局」。新総裁は当然選ぶ側にとっては選挙の顔となることが意識され大きな判断材料になる。曲折はあったが菅首相が選挙の顔になるとは評価されず不出馬に至った。コロナを収束の方向に導くことができず、その是非はさておき衆院解散の時期を逸しつづけことが菅首相にとって致命傷となった。

 

 

○左による分断を前提とした自民党政治に向かう怒り。2021.9.17

 

菅首相には安倍のような国家観や安全保障観などなく、むしろ継承したのは小泉路線だった。もともと郵政民営化での手腕を買われて頭角を表してきたのが菅。ふるさと納税やgotoキャンペーンは競争心と利得心と言う2つの人間の心を利用した制度である。小泉純一郎があるべき国家観を語った事は無いように菅首相も同様である。怒りの連帯を寸断し社会の分断を生み出し、あとはコアな支持層が硬く存在していれば衆議院小選挙区制度のもとでの勝利はたやすい。

ふるさと納税自治体間の過度な競争を生み、制度を利用するほど得をする自治体や個人が生まれ、参加しない人には何の恩恵もないと言う不平等を生み出した。そこにはふるさと納税に参加できるだけの所得がある者とそうでない者という所得格差が厳然とある。

gotoキャンペーンについては、実態はお得感をテコにして国民の消費を煽り経済波及効果を狙う政策にすり変わった。そこにはコロナ禍で経営困難に陥った小規模の飲食店や宿泊施設を救済する意図なく、対策が十分にできる体力のある事業者のみが救われる、得をするという弱肉強食の制度になっていた。