五輪後の日本

○傲慢で卑屈だった東京五輪 2021.9.14

空港では一部の報道人 陣はすぐにATMを利用したり喫煙室に行ってマスクを外してタバコを吸いながら大声で話したりコーヒーを買ったりしていた。ボランティアになぜ彼らを指導しないのかと聞けば、ほぼ全員が「自分の仕事ではない」と答える。マスク着用を誰も求めない。「私は関係ない旅行会社のものです、私の仕事選手の名前とホテルの確認だけ」と言う。プレスルームではマスクを外した記者やカメラマンが20人以上。ルールを守っているか確認する責任者がいない。日本人の若いボランティアでは対応できない。結果的にメディア関係者にも感染者が出た。

飲食の場面は感染リスクを高めるが、プレスルームに飲食禁止の表示はなく、多くの人が食事をしていた。国民に説明されたルールと現場の現実は異なっていた。

選手らは検査は毎日行うがそれは抗原検査でPCR検査と異なり感染しても無症状だと陽性にならないリスクがある。他の関係者PCR検査を受けたが頻度は4日に1回、1週間に1回などバラバラ。唾液検査キットのバーコード番号などを自分で登録するが、それが間違っていても本人にはわからない。だから陽性なのに誰の検体が不明なケースもあった。


来日したのはほぼ全員スポーツ記者。報道の自由を守りつつ十分な感染対策をするには入国後14日間の完全隔離が必要だが、それは非現実的だった。ほとんどのマスコミは財務状況が厳しく、数人の記者に仕事をさせずホテルに14日間隔離しておくのは時間とお金の無駄だ。だからIOC等の圧力を受けた日本政府は隔離を免除し代わりに行動制限を行った。

今大会は「復興五輪」と言われたが、その面では完全に失敗だった。報道の基本は現場取材することだから東北地方に行く機会もなく、外国のマスコミは無関心。いくら橋本聖子会長が記者会見で復興を連呼しても報道されない。

 


○大成功ではなく、大失敗でもなく 2021.9.14

専門家が呼びかけた「8月26日まで集中的な対策をして東京の人流を緊急事態以前の7月前半の5割にする」と言う提言は全く効果がなかったわけではない。8月15日時点で人流を約36%減らすことができており目標7割が達成。JR東日本の発表によればお盆の帰省も2019年と比べて7割以上減。「慣れ」が散々指摘された中であっても多数派はパンデミック以前のような移動を諦め対策に協力していた。

最大のチャンスをみすみす逃したのは政治。「目標の7割を達成できている」と言うポジティブな事実を強調する効果的なコミニケーションをとることができれば、もう少し協力を得られたかもしれない。だが結果的に人の流れが増え8月末には目標の4割まで後退した。